【あらすじと感想】前期三部作の一つ『それから』夏目漱石

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こんにちは、akaruです。

近代日本文学の文豪の一人、夏目漱石。

『こころ』は教科書にも載っていますし、『吾輩は猫である』や『坊っちゃん』はタイトルだけでも聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

本記事では夏目漱石の前期三部作の一つである『それから』をご紹介します。

三上延さんの『ビブリア古書堂の事件手帖』でも出てきますね。

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『それから』作品概要

  • 著者:夏目漱石
  • 発行:1909年に朝日新聞で連載
  • ジャンル:長編小説
  • 備考:『三四郎』、『門』と合わせて前期三部作とされる

『それから』登場人物

  • 長井代助…主人公。30歳。
  • 平岡常次郎…代助の中学時代からの友人。
  • 平岡(菅沼)三千代…平岡の妻。代助と平岡の共通の友人の妹だった。

『それから』あらすじ

代助

実業家の次男に生まれた長井代助。

優秀な成績で大学を卒業したものの定職に就こうとせず、実家に経済的に頼りながら、読書や音楽会に行くなどして暮らしていた。

縁談も断り続けていたため独身で、父親の用意してくれた一軒家に書生の門野と、お手伝いのお婆さんを住んでいた。

代助には、平岡という中学時代からの友人がいた。

平岡は成績は今ひとつだったが、大学を卒業した後は銀行に就職した。

平岡は結婚と同時に京阪地方の支店に転勤となっていたが、とある事情から失業し、3年ぶりに東京に戻って来るという連絡があった。

再会

平岡と妻の三千代が東京に戻ってきた。

三千代は代助と平岡の共通の友人の妹であり、三千代と平岡の仲を持ったのも代助であった。

平岡と三千代の間には子供が一人授かったがすぐに亡くなった。

三千代もそれをきっかけに体調を崩すようになり、夫婦仲もうまくいっていないようだった。

ある日、三千代が一人で代助のもとを訪ねて来た。

聞いてみると、代助にお金を工面できないかと言う。

代助は、三千代にこんな気恥ずかしい思いをさせる平岡の境遇を気の毒に思った。

平岡も、上京してしばらくの間は就職活動を一生懸命していた。

代助の父の会社に働き口はないかと聞いたりもした。

しかし、なかなか上手くいかず、次第に平岡は家に寄り付かなくなり、飲み歩くようになる。

告白

三千代から、平岡がなぜ大きな借金をするようになったかの理由を聞き、代助は平岡と三千代の間をとりもったことを後悔し始める。

それというのも、当時、代助もまた三千代を愛していましたが、定職についていない自分よりも、銀行に就職して安定した平岡に嫁いだ方が三千代が幸せになれると考えて身を引いたという過去があったからだ。

平岡家の生活は困窮し、かつ、平岡は三千代を顧みていない。

三千代を不憫に思った代助は、次第に自分の気持ちが大きくなっていくのに気づくのだった。

『それから』感想

代助について

とても繊細で、臆病な人だと思いました。

父親との対話をいい加減にかわすのも、三千代を平岡に譲ったのも、真剣に何かに向き合うのが怖いからなのではないかと思います。

成績が良いから就職しても成功できるとは限りません。しかし、「定職に就いている平岡と一緒になった方が三千代は幸せになれるだろう」というのは論理としてどうでしょう。「一緒に幸せになれるよう、仕事を探すよ!」とならないあたり、自分が失敗したくないだけのように聞こえてしまいます。

平岡について

この時代、姦通は刑罰対象でした。

作中では、どのレベルの逢瀬だったのかはっきりとは書かれていませんが、少なくとも心は通わせていた代助と三千代。

正式な夫である平岡に同情できないのは、彼がモラハラ気質に見えるからでしょう。

愛した女性をモラハラ夫から救い出し、今度こそ二人で愛の道へ…!

という構図だと、印象が全然違いますものね。

漱石の時代も、離婚という制度はあったようです。一度結婚したら絶対に死ぬまで添い遂げなければならないわけではなく、離婚して再スタートするのはアリだと思います。不倫を正当化するのではなく、交際は離婚が成立してからというのが大事ですけれど。

また、代助が三千代を愛していたとは微塵も思っていなかった平岡。まさに寝耳に水というやつですね。就職先で色々あって人間不信になっているところへ友人だと思っていた人物からのまさかの告白。彼も不憫なのかもしれません。

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